北電、電力系統の「慣性力」を計測、再エネ拡大に対応

北海道電力は9月10日、英Reactive Technologies(リアクティブ テクノロジーズ=RTL)と共同で、北海道エリアの電力系統の「慣性力」を計測すると発表した。Reactive Technologiesは、電力系統の慣性力および系統強度をリアルタイムで計測できる技術をもつ。

 電力系統における「慣性力」とは、電力系統全体の周波数変動に抵抗する能力のこと。火力・水力発電などの同期発電機のローターやタービン(回転体)に蓄えられたエネルギー(慣性)によって提供されており、需給バランスが崩れた際に即時的にエネルギーを放出・吸収して周波数の急激な変動を抑える。一方、太陽光などの再生可能エネルギーは、直流電力を交流電力へ変換するインバーターを介して系統連系するため、回転体のような慣性力は提供されない。

 2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、2040年の電源構成における再エネ比率4〜5割を目指すと想定されている。その一方で、火力発電の比率は現状の7割程度から2〜3割程度へ減少すると想定される。太陽光などの比率が高まると慣性力が不足し電力系統が不安定になる懸念が指摘されている。

 今回の取り組みでは、Reactive Technologiesが開発する「GridMetrix(グリッド メトリックス)プラットフォームを導入する。電力系統の電圧位相や周波数を複数地点で同時計測できる装置XMU(eXtensible Measurement Unit)を設置・計測することで、系統における慣性力を推定する。北海道エリアにおける系統慣性の状況を把握し、その上で再エネ導入拡大と需給安定化の双方に寄与する電源構成を検討する。
 

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