再エネクレジットに時間的価値、需要との同時性を証明

電源開発(Jパワー)、インダストリー・ワン(東京都中央区)、 NSW、Scalar(スカラー、東京都新宿区)の4社は1月6日、再生可能エネルギーに時間的価値を付与する「環境価値プラットフォーム」の共同開発を開始したと発表した。半年程度をめどにトライアルを実施し、2025年度中に商用サービスを開始する予定。

 太陽光や風力発電の出力は気象や天候に左右され、昼夜を通じて安定的に供給できるないため、現行の時間帯証明のない環境価値(非化石証書など再エネクレジット)を活用した取引のみでは厳密な意味で同時性のある再エネ電力調達を証明することは困難だった。一方で、時間ごとに100%非化石電源利用を保証する「24/7 Carbon Free Energy(CFE)」や、蓄電池などを活用した太陽光発電の夜間シフトといった取り組みが注目されており、時間帯ごとの電力需給の実態に即した環境価値を活用する必要性が高まっているという。

 これまでに4社は、Scalarが提供するデータベースにおける改ざん検知ミドルウエア「ScalarDL」を利用した概念実証(PoC)を実施。発電データの保全および改ざん検知が可能であることを確認し、大量のトランザクション処理に対応した環境価値プラットフォームの基盤構築の手法を確立した。

 同プラットフォームでは、太陽光や風力など非化石電源が発電した時間を正確に記録し、需要データと紐付けることで、時間帯ごとの環境価値を顕在化させる仕組みを提供する。時間帯ごとに異なる電源構成を反映し非化石比率を正確に計算することで、実際にCO2が大量排出される時間帯における電力需給を可視化し、実態に即したCO2排出量削減に寄与する。

 ScalarDLの分散台帳技術により、発電データや環境価値が改ざんされていないことを保証する。プラットフォーム内のデータがスマートメーターなどから取得されたデータであることを検証し、正確性と信頼性を保証する。発電量と使用電力量を直接1対1で紐付けず、非化石電源から環境価値を分離してプールする。需要家ごとに非化石比率を充当する設計により、大量のデータを迅速に処理しながら環境価値を合理的に取引する。

 これらの機能により、非化石価値の利用を最大化しつつ、化石燃料の利用を抑制したり、24/7 CFE、GXリーグ、カーボンクレジット市場などの制度への対応といった効果が期待される。将来的には産地情報を付与することで、エネルギーの地産地消を促すことにも貢献したいという。

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