オリックスと関西電力が、和歌山県紀の川市に建設していた系統用蓄電池が完成し、11月29日に開所式を開催した。12月1日に運転を開始した。定格出力48MW、定格容量113MWhに達し、稼働済みの系統用蓄電池としては国内で最大規模になる。
施設名は、「紀の川蓄電所」で、両社の折半出資で「紀の川蓄電所合同会社」を設立した。関電グループのE-Flow(大阪市中央区)が運用を担い、オリックスグループのオリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント(OREM、東京都江東区)がO&M(運営・保守)サービスを担当する。
関西電力送配電(大阪市北区)の運営する紀の川変電所内に約8000m2の敷地を借りて建設した。蓄電池セル(充放電素子)は三元系のリチウムイオン電池を採用し、TMEIC(ティーマイク)が蓄電池システムを構築した。設備全体の施工はきんでんが担った。
64台のコンテナを設置し、1台の中にリチウムイオン蓄電池を搭載したラックのほか、蓄電池の充放電を制御するパワーコンディショナー(PCS)、蓄電池の状態を管理するFBSC(Front Battery Control System)盤を収納した。PCSとFBCS盤はTMEIC製となる。
稼働後は、容量市場と需給調整市場に参加しつつ、卸電力取引市場を使って裁定取引(アービトラージ)を行うことで、収益を上げることを目指す。これら市場取引を通じて、結果的に太陽光や風力発電の出力変動を相殺し電力系統の安定的な運用に貢献することになる。