経済産業省は9月30日に有識者会議(再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)を開催し、フィード・イン・プレミア(FIP)制度の促進策に関して討議し、既存のFIP電源に蓄電池を併設した場合に「系統充電」を可能にすることや、事後的に蓄電池を併設した場合の価格算定ルールを変更するなどの案を公表した。
経産省は、事業者の収入が市場価格に連動するFIP電源は、固定価格買取制度(FIT)に比べて電力系統の需給バランスの改善に寄与すると評価し、FITからFIPへの移行をさらに促進する方針を示している。
すでに出力制御(出力抑制)の優先給電ルールにおける出力制御の順番を、早ければ2026年度中から、FIT電源→FIP電源の順とすることを示している。これにより、FIT電源に比べてFIP電源に対する出力制御の頻度が大幅に減少することが予想される。
それに加え、今回の審議会では、FIPに蓄電池を併設した場合の制度について、より経済性を高めるためのルール変更案を示した。
経産省は、発電設備に併設される蓄電池について、電力系統から充電する「系統充電」を可能とすることをすでに制度化し、2024年度以降に新規認定を受けたFIP電源にも適用することになっている。今回、さらに2023年度以前に認定を受けたFIP電源(FITからFIPに移行した電源を含む)についても、「系統充電」を可能とするとの案を示した。
これにより、FITに併設した蓄電池は、太陽光で発電した電力を充電して市場の高い時間帯に放電(売電)するだけでなく、系統用蓄電池のように電力市場の価格差を利用して収益を上げるアービトラージ(裁定取引)も可能になり、稼働率の向上が見込める。
また、FIP電源に事後的に蓄電池を併設した場合の基準価格の算定ルールを変更し、従来よりも経済性を向上させるとした。現状では、パワーコンディショナー(PCS)出力と、過積載部分の太陽光出力の比率により、基準価格(蓄電池設置前価格と十分に低い価格)を加重平均した値に価格変更することになっているが、これを過積載率に応じて実態に沿った形で技術的に算定したピークカット電力量割合の想定値を用いて算定するとした。具体的には、国内でも日照の多い山梨県甲府地域のピークカット電力量割合を基準にするとした。
一連の制度見直しで、FIP電源に加え、蓄電池を併設したFIP電源の収益性が増すことで、今後、FITからFIPに転換して蓄電池を併設する動きが加速する可能性がある。