巨額の設備投資を公約
気候変動対策の国際的な枠組みを議論する、国連気候変動枠組み条約・第29回締約国会議(COP29)が、アゼルバイジャンの首都バクーで開催され、11月24日閉幕した。
世界の有志電力事業者と関連企業で構成される「ネットゼロ電力連合(The Utilities for Net Zero Alliance=UNEZA)」は、同会議会期中の11月15日、2030年までにエネルギー貯蔵の設備容量を2022年比で6倍となる1500GWまで増強するために巨額の設備投資を行うことなどを公約した。
今回のUNEZAによる発表は、COP29に加え、2024年4月にイタリアのトレノで開催された「主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境大臣会合」、および6月に同プーリアで開催されたG7サミットで再確認された「2030年までに再生可能エネルギー設備容量を3倍増、エネルギー効率改善率を2倍にする」という気候変動対策を有志企業連合として支持、推進することを表明したものだ(関連記事)。
太陽光や風力などの変動性再エネ電源が電力系統網に大量に連系されると、系統網の安定化や受給バランス維持のために系統網の増強や柔軟性の確保が必要となる。このため、UNEZAは2030年までのエネルギー貯蔵設備を6倍増、および2040年までの系統網の8000万kmにおよぶ増強に向けて投資を行うという公約を示したのである。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、これらの設備に必要となる投資額は現在のほぼ2倍となり、世界全体では2030年までに年平均で7170億ドルに達するという。
今回UNEZAとしては、年平均で1170億ドル以上の投資額を公約している。このうち約48%(同562億ドル)を系統網インフラの新設や増強、残りの約52%(同608億ドル)を蓄電池や水素といったエネルギー貯蔵に充てる予定である。